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ChatGPTを社内で使う前に決めておきたい利用ルールの作り方

平垣内 航Zacoo株式会社 代表取締役

ChatGPTなどの生成AIを社内で使い始める前に、利用ルールを決めておくと、安心して活用を広げられます。ルールがないまま使い始めると、社員ごとに判断がばらばらになり、思わぬところで情報が外に出てしまうおそれがあります。かといって、最初から細かく決めすぎると誰も使わなくなります。この記事では、守ってほしいことに絞った利用ルールの作り方を、順を追って紹介します。

CONTENTS 目次
  1. 01利用ルールが必要な理由
  2. 02ルール① 入力してはいけない情報を決める
  3. 03ルール② 出力をそのまま使わない
  4. 04ルール③ 使ってよいツールと範囲を決める
  5. 05ルール④ 相談先と報告の流れを決める
  6. 06ルールを周知し、定着させる
  7. 07使いながらルールを見直す
  8. 08そのまま使える利用ルールのひな形
  9. −まとめ

01利用ルールが必要な理由

生成AIは、文章の下書きや要約、アイデア出しなど、幅広い業務で役に立ちます。一方で、使い方を誤ると、次のような問題が起こりえます。

  • 顧客の情報や社外秘の資料を、そのまま入力してしまう
  • AIが出力した誤った内容を、確認せずに社外へ出してしまう
  • 会社として把握していないツールを、各自が使い始める
  • 問題が起きたときに、誰に報告すればよいか分からない

どれも、社員に悪気があって起こるものではありません。「何をしてよくて、何をしてはいけないのか」が決まっていないことが原因です。ルールは社員を縛るためではなく、安心して使ってもらうためにあると考えましょう。

ルールがあると活用が進む

ルールが決まっていると、社員は「この範囲なら使ってよい」と判断できます。迷いが減るぶん、むしろ活用は進みます。禁止事項を並べるだけでなく、「こういう使い方はおすすめ」という例もあわせて示すと効果的です。

誰が作るかを決めておく

利用ルールは、情報システム、法務、人事など、複数の部署に関わります。ひとつの部署だけで作ると、現場の使い方に合わなかったり、確認すべき観点が抜けたりしがちです。とりまとめ役を1人決めたうえで、関係する部署の担当者に意見をもらいながら作ると、実際に守られるルールになります。最初の版は完璧でなくてかまいません。まずは数週間で形にし、使いながら直していく前提で進めましょう。

02ルール① 入力してはいけない情報を決める

最も大切なのは、入力してはいけない情報をはっきりさせることです。ツールの設定や契約内容によって、入力した情報の扱いは異なります。安全側に考えて、外に出てはいけない情報は入力しないことを基本にします。

具体的に挙げる

「機密情報は入力しない」だけでは、何が機密にあたるのか判断が分かれます。次のように、具体的に挙げておきます。

  • 顧客や取引先の個人情報(氏名、連絡先、住所など)
  • 社員の個人情報や人事に関する情報
  • 契約書、見積書、取引条件などの社外に出せない資料
  • 公開前の商品・サービスの情報
  • パスワードやアクセス用の情報

迷ったときの考え方

挙げた項目にあてはまらなくても、判断に迷うことはあります。その場合は「社外の人に見せてよい情報か」を基準にし、迷ったら入力しないか、相談窓口に確認するようにします。固有名詞を伏せたり、数字をぼかしたりして使う方法も、あわせて伝えておくと便利です。

POINT 個人情報や契約に関わる扱いは、法令や取引先との契約によって求められることが変わります。ルールを決める際は、法務担当や専門家にも確認しておきましょう。

03ルール② 出力をそのまま使わない

生成AIが出力する文章には、誤りが含まれることがあります。もっともらしい文章で、事実と異なる内容や、存在しない情報が書かれていることもあります。

人が確認する流れを決める

社外に出す文章や、判断の材料にする情報は、必ず人が内容を確認してから使うことをルールにします。特に、次のような内容は注意が必要です。

  • 数字、日付、固有名詞
  • 法律、制度、規約に関する説明
  • 他社や商品についての情報
  • 引用や出典として示す内容

用途によって確認の重さを変える

すべての出力を同じように確認するのは大変です。用途に応じて、確認の重さを変えるのが現実的です。

用途 例 確認の目安
社内で使うたたき台 会議メモの要約、アイデア出し 使う人が内容を確認する
社外に出す文章 メール、提案書、Web記事 担当者が事実関係まで確認する
判断に関わる情報 契約、制度、数字を含む資料 担当者に加え、上長や専門部署が確認する

権利にも気をつける

生成された文章や画像が、既存の作品と似てしまうこともあります。社外に公開するものは、他者の権利を侵害していないかにも注意します。扱いに迷う場合は、法務担当や専門家に確認するようにしましょう。

04ルール③ 使ってよいツールと範囲を決める

生成AIのツールは数多くあります。社員が各自でさまざまなツールを使い始めると、どこにどんな情報が入力されたのか、会社として把握できなくなります。

会社として使うツールを決める

業務で使ってよいツールを決めて、一覧にしておきます。ツールによって、入力した情報の扱いや管理の機能が異なるため、情報システムの担当者などと相談して選びます。個人のアカウントではなく、会社で管理するアカウントを使うようにすると、管理がしやすくなります。

使ってよい業務を示す

あわせて、どのような業務で使ってよいのかを示しておきます。

  • おすすめの使い方:文章の下書き、要約、言い換え、アイデア出し、表現の確認
  • 注意が必要な使い方:社外に出す文章、数字を含む資料の作成
  • 使わない業務:人事評価や採否の判断など、人が責任を持って判断すべきもの

使わない業務を決めておくことも大切です。AIの出力をそのまま判断に使うと、理由を説明できない判断になってしまうおそれがあります。

05ルール④ 相談先と報告の流れを決める

使い方に迷ったときや、誤って情報を入力してしまったときに、すぐ相談できる窓口を決めておきます。

窓口はひとつにする

相談先が部署ごとに違うと、社員はどこに聞けばよいか迷います。窓口はひとつにして、社内の誰もが分かる場所に掲示しておきます。チャットツールに専用の場所を作るのも、気軽に相談できる方法です。

「やってしまった」を報告しやすくする

誤って入力してはいけない情報を入力してしまったときは、早めに報告してもらうことが大切です。報告した人を責める雰囲気があると、報告が遅れ、対応も遅れます。「気づいたらすぐ報告する」ことを、ルールの中ではっきり伝えておきましょう。

06ルールを周知し、定着させる

ルールを作っても、社員に伝わらなければ意味がありません。作ったあとの伝え方にも工夫が必要です。

1枚にまとめる

利用ルールは、長い文書にするよりも、1枚で見渡せる形にまとめるのがおすすめです。「入力しない情報」「出力の確認」「使ってよいツール」「相談先」の4つが一目で分かれば、日々の業務で思い出しやすくなります。

使い方の説明とセットにする

ルールの説明だけでなく、実際の使い方を体験できる場を設けると、理解が深まります。おすすめの指示文(プロンプト)の例や、うまく使えた事例を共有すると、「使ってみよう」と思うきっかけになります。

新しく入った人にも伝える

入社した人や異動してきた人にも、同じように伝わる仕組みを作っておきます。入社時の案内資料にルールを入れておくと、伝え漏れを防げます。

07使いながらルールを見直す

生成AIのツールは、機能や提供される条件が変わることがあります。社内の使い方も、慣れるにつれて広がっていきます。ルールは一度作って終わりではなく、定期的に見直しましょう。

見直しのタイミング

  • ツールの機能や利用条件が変わったとき
  • 新しいツールを使い始めるとき
  • 相談窓口に同じような質問が続いたとき
  • 半年に1回など、決めた時期

現場の声を集める

見直しの材料になるのは、実際に使っている社員の声です。「この業務でも使いたい」「このルールは分かりにくい」といった意見を集め、必要に応じてルールを足したり、表現を改めたりします。

Zacooでも、自社でAIツールを開発・運用する中で、使い方のルールを少しずつ整えてきました。最初から完璧を目指すよりも、守ってほしいことに絞って始め、使いながら育てていくほうが、結果として社内に定着しやすいと感じています。

08そのまま使える利用ルールのひな形

ここまでの内容を、社内向けの利用ルールとしてまとめた例を紹介します。自社の業務や使うツールに合わせて、言葉や項目を調整してお使いください。

生成AI利用ルール(例)

1. 目的 業務の効率化と品質の向上のために、会社が認めた生成AIツールを安全に使うことを目的とします。

2. 使ってよいツール 会社が認めたツールのみを、会社が管理するアカウントで使います。新しいツールを使いたいときは、事前に窓口へ相談します。

3. 入力してはいけない情報 次の情報は入力しません。

  • 顧客・取引先・社員の個人情報
  • 契約書、見積書、取引条件など社外に出せない資料
  • 公開前の商品・サービスの情報
  • パスワードやアクセス用の情報

判断に迷う情報は入力せず、窓口に確認します。

4. 出力の扱い 生成された内容には誤りが含まれることがあります。社外に出す文章や、判断の材料にする情報は、必ず人が内容を確認してから使います。数字・日付・固有名詞・制度に関する説明は、特に注意して確認します。

5. 使わない業務 人事評価や採否の判断など、人が責任を持って判断すべき業務には使いません。

6. 相談と報告 使い方の相談や、誤って入力してはいけない情報を入力したときの報告は、窓口(〇〇部・〇〇チャンネル)へ行います。気づいた時点で、すぐに報告してください。

7. 見直し このルールは、ツールの変更や利用状況に合わせて、定期的に見直します。

ひな形を使うときの注意

ひな形は、あくまで出発点です。業種や扱う情報によって、必要なルールは変わります。たとえば、個人情報を多く扱う業務がある場合は、入力しない情報をさらに具体的にしたり、確認の手順を厳しくしたりする必要があります。

また、ルールの内容が法令や取引先との契約に沿っているかは、法務担当や専門家に確認してから運用を始めるようにしましょう。

「やってよいこと」も書き添える

禁止事項だけを並べると、社員は「使わないほうが安全」と考えがちです。ルールとあわせて、「メールの下書き」「会議メモの要約」「資料の構成案づくり」など、おすすめの使い方を書き添えておくと、安心して使い始められます。

まとめ

ChatGPTなどの生成AIを社内で使う前に、次のルールを決めておきましょう。

  • 入力してはいけない情報:具体的に挙げ、迷ったら入力しない
  • 出力の確認:社外に出す前に、必ず人が確認する
  • 使ってよいツールと範囲:会社として使うツールと業務を決める
  • 相談先と報告の流れ:窓口をひとつにし、報告しやすくする

ルールは1枚にまとめて周知し、使いながら見直していくことが大切です。社内の生成AI活用や、利用ルールづくりの進め方にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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