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業務の自動化はどこから始める?効果が出やすい業務の見つけ方

平垣内 航Zacoo株式会社 代表取締役

業務の自動化を考えるとき、「どこから手をつければいいか分からない」という声をよく聞きます。ツールやAIの選択肢は増えましたが、成果を左右するのは道具よりも「どの業務から始めるか」です。この記事では、業務の書き出しから、自動化に向く業務の選び方、小さく試して社内に広げるまでの進め方を、順を追って整理します。

CONTENTS 目次
  1. 01なぜ「どこから始めるか」が大切なのか
  2. 02業務を書き出して全体像をつかむ
  3. 03自動化に向いている業務の特徴を知る
  4. 04効果と手間で優先順位をつける
  5. 05手順を整えてから自動化する
  6. 06小さく試して効果を測る
  7. 07社内に広げて、運用を続ける
  8. −まとめ

01なぜ「どこから始めるか」が大切なのか

自動化がうまくいかない理由の多くは、技術ではなく対象の選び方にあります。

たとえば、判断が多く例外だらけの業務を最初に選ぶと、仕組みづくりに時間がかかり、完成しても使われないことがあります。一方で、手順が決まっていて毎日のように発生する業務から始めると、短い期間で効果が見え、社内の理解も得やすくなります。

最初の取り組みは、その後の自動化全体の「前例」になります。最初に小さな成功をつくれるかどうかで、次の業務に広げるスピードが変わります。

よくあるつまずき

自動化の相談では、次のような状況からスタートすることがよくあります。

  • 便利そうなツールを先に契約したが、何に使うかが決まっていない
  • 「全部まとめて自動化したい」と考え、要件が大きくなりすぎた
  • 担当者が個人で仕組みをつくり、本人以外は中身が分からない
  • 効果を測っていないため、続けるかどうかを判断できない

どれも、対象の業務と進め方を先に決めていれば避けられるものです。ツールの検討は、どの業務を、どう変えたいかが決まってからでも十分に間に合います。

自動化で得られるのは時間だけではない

自動化の効果というと、作業時間の短縮が思い浮かびます。ただ、実際にはそれ以外の効果も大きいものです。

  • 転記や集計のミスが減り、確認や手戻りの手間が減る
  • 処理が早くなり、お客様への対応までの時間が短くなる
  • 特定の担当者しか分からない作業が減り、引き継ぎがしやすくなる
  • 単純な作業から離れた時間を、考える仕事や対人の仕事に使える

どの効果を重視するかによって、選ぶべき業務も変わります。「何のために自動化するのか」を最初に言葉にしておくと、候補を選ぶときの判断がぶれません。

POINT 最初の1件は「効果の大きさ」よりも「確実に成果が出ること」を優先して選びます。

02業務を書き出して全体像をつかむ

まずは、毎日・毎週・毎月行っている作業を書き出します。頭の中で考えるより、一覧にしたほうが候補を比べやすくなります。

書き出すときの項目

次のような項目を表にまとめるだけで、全体像が見えてきます。

項目 書く内容の例
作業の名前 問い合わせの転記、請求書の作成など
頻度 毎日・毎週・毎月
1回あたりの時間 15分、1時間など
担当者 誰が、何人で行っているか
使っているツール 表計算ソフト、メール、社内システムなど
困っていること ミスが起きやすい、待ち時間が長いなど

現場の担当者と一緒に書き出す

管理する立場から見える業務と、実際に手を動かしている人が感じている業務は、少しずつ違います。書き出しは現場の担当者に協力してもらうのがおすすめです。

「この作業、実は毎回ここで手間取っている」という声は、一覧だけでは見えません。こうした声が、自動化の候補を絞るうえで役立ちます。

書き出す粒度をそろえる

書き出しでつまずきやすいのが、作業の大きさのばらつきです。「営業事務」のように大きなくくりで書くと、どこを自動化できるのかが見えません。反対に、クリック1回ごとまで細かく書くと、一覧が長くなりすぎて比べられなくなります。

目安は「誰かに頼むときに、ひとことで伝えられる単位」です。「問い合わせフォームの内容を顧客管理表に入力する」「毎週月曜に前週の売上を集計して共有する」くらいの粒度にそろえると、候補を比べやすくなります。

時間は正確でなくてよい

1回あたりの時間は、最初はおおよその数字で構いません。「だいたい15分」「長いときは1時間」といった感覚値でも、業務どうしを比べるには十分です。正確な時間は、候補を絞り込んだあとで測れば足ります。

03自動化に向いている業務の特徴を知る

書き出した業務の中から、自動化しやすいものを見分けます。向いているのは、次のような特徴を持つ業務です。

  • 毎回同じ手順で進む
  • 判断が少ない、または判断のルールを言葉にできる
  • 繰り返し発生する
  • 入力・転記・集計など、データを扱う作業が中心
  • 人が行うとミスが起きやすい

具体的には、フォームから届いた情報を管理表に転記する作業、毎週の数値の集計とレポート作成、定型のメール送信などが当てはまります。

部署ごとの候補の例

自動化の候補は、どの部署にもあります。考えるときのきっかけとして、よく挙がる例を並べます。

部署 自動化の候補になりやすい業務
営業 問い合わせ内容の転記、商談記録の整理、見積書の作成
事務・経理 請求書の作成と送付、入金の確認、経費の集計
マーケティング 広告やアクセスの数値の集計、定例レポートの作成
人事・採用 応募者情報の登録、面接日程の調整、連絡メールの送信
開発 テストの実行、資料の作成、問い合わせの一次対応

AIで広がった自動化の範囲

以前は、文章を読んで内容を判断する作業は自動化が難しいとされていました。今は生成AIを使うことで、問い合わせ内容の分類や要約、書類からの情報の抜き出しなど、ある程度の判断を含む作業も自動化の候補になっています。

ただし、AIの出力は毎回まったく同じとは限りません。お客様に直接届く内容や、金額に関わる処理では、人が確認する工程を残しておくと安心です。

向いていない業務もある

反対に、毎回状況が違って判断が必要な業務や、発生する頻度が少ない業務は、最初の候補には向いていません。仕組みをつくる手間に対して、得られる効果が小さくなりやすいからです。

ただし、向いていない業務でも、その一部だけを切り出せば自動化できることがあります。たとえば「判断は人が行い、判断に必要な情報を集めるところだけを自動化する」といった分け方です。

04効果と手間で優先順位をつける

候補が見えてきたら、優先順位をつけます。おすすめは「効果の大きさ」と「実現の手間」の2つの軸で整理する方法です。

実現の手間が小さい 実現の手間が大きい
効果が大きい 最初に取り組む 計画を立てて取り組む
効果が小さい 余裕があれば取り組む 後回しにする

効果は「1回あたりの時間 × 頻度 × 担当者の人数」でおおよそ見積もれます。毎日30分かかる作業を3人で行っていれば、それだけで大きな時間になります。

手間は、使っているツールが連携しやすいか、手順がはっきりしているか、関わる部署が少ないかで判断します。

POINT 最初は「効果が大きく、手間が小さい」業務から1つだけ選びます。候補が複数あっても、同時に進めないほうがうまくいきます。

05手順を整えてから自動化する

対象の業務が決まったら、すぐに仕組みをつくるのではなく、まず手順を整理します。

人が行っている業務には、担当者ごとのやり方の違いや、「念のため」で残っている手順が含まれていることがよくあります。そのまま自動化すると、不要な手順まで仕組みに組み込まれてしまいます。

手順を整理するときの確認ポイント

  • 作業の始まりと終わりはどこか
  • 担当者によって手順が違うところはないか
  • 今はもう必要のない手順が残っていないか
  • 例外が起きたとき、誰がどう対応しているか

手順を整えるだけで作業時間が短くなることもあります。自動化はその後でも遅くありません。

判断のルールを言葉にする

「この場合はこう対応する」という判断が担当者の経験に頼っている場合は、そのルールを書き出しておきます。ルールが言葉になっていれば、自動化できる範囲が広がるだけでなく、新しく入った人への引き継ぎにも役立ちます。

06小さく試して効果を測る

いきなり大きな仕組みをつくらず、ひとつの作業、ひとつのチームで試します。

試す前に、導入前の状態を記録しておくことが大切です。作業時間、ミスの件数、対応までにかかる時間など、比べられる数字を1つか2つ決めておきます。

試す期間の目安を決める

期間を決めずに試すと、効果の判断があいまいになります。業務の頻度に合わせて、「毎日の作業なら数週間」「月に1回の作業なら数か月」のように、比べられるだけの回数をこなせる期間を設定します。

例外への対応も確かめる

試しているあいだは、うまくいかなかったケースも記録します。どんな入力で止まったのか、人が手で直したのはどこか。こうした記録が、仕組みを改善するときの手がかりになります。

使う人の声を聞く

数字では効果が出ていても、使う人が不便を感じていると、いずれ元のやり方に戻ってしまいます。試している期間中に、担当者から「使いにくいところ」「前より手間が増えたところ」を聞いておきます。小さな不満のうちに直しておくことが、定着への近道です。

続けるかどうかを判断する

試す期間が終わったら、導入前に記録した数字と比べて、続けるかどうかを判断します。効果が思ったより小さかった場合も、それ自体が次の判断材料になります。「どこまでは自動化できて、どこからは人が行うべきか」が分かれば、次に選ぶ業務の精度が上がります。

07社内に広げて、運用を続ける

効果が確認できたら、同じような業務やほかのチームに広げていきます。このとき大切なのが、運用の体制です。

自動化した仕組みは、つくって終わりではありません。業務の手順が変わったり、使っているツールが更新されたりすると、仕組みの見直しが必要になります。

  • 仕組みの管理を担当する人を決める
  • 手順や設定を記録に残す
  • 不具合が起きたときの連絡先を決める

担当者が1人だけだと、その人が異動したときに仕組みが止まってしまいます。手順を記録に残し、複数の人が分かる状態にしておくと安心です。

社内でつくるか、外部に頼むか

表計算ソフトの機能や、ノーコードの連携ツールで実現できる範囲なら、社内でつくるのも選択肢です。一方で、複数のシステムをまたぐ処理や、AIを組み込んだ仕組み、セキュリティへの配慮が必要な処理は、専門の開発者に相談したほうが早く確実に進むことがあります。

判断に迷うときは、「仕組みが止まったときに、社内で直せるか」を基準に考えると整理しやすくなります。外部に頼む場合も、対象の業務と手順を社内で整理しておくと、相談や見積もりがスムーズに進みます。

社内で支援した事例

Zacooでも、システム開発会社の開発工程をAIで効率化したり、人材紹介会社の業務フローを見直して営業事務の人員を80%削減したりと、業務の自動化を支援してきました。いずれも、対象の業務を絞り、手順を整えてから、自社でも開発・運用してきたAIツールを各社に合わせて調整する進め方をとっています。

まとめ

業務の自動化は、どの業務から始めるかで成果が大きく変わります。

  1. 業務を書き出して全体像をつかむ
  2. 手順が決まっていて繰り返し発生する業務を選ぶ
  3. 効果と手間で優先順位をつける
  4. 手順を整えてから自動化する
  5. 小さく試し、数字で効果を測る
  6. 運用の体制を決めて社内に広げる

この順番で進めると、自動化の効果を実感しやすくなります。「どの業務から手をつけるべきか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

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